バリ取りとは?二次バリを防ぐ研磨のコツと最適な製品の選び方をプロが解説
- 2026.4.20
金属加工の現場で、切断や削り出しの後に必ず発生する「バリ」。多くの作業者にとって、バリ取りは「手間がかかる」「怪我のリスクがある」「できればやりたくない」と感じる負担の大きい工程ではないでしょうか。
バリは単なる「おまけのトゲ」ではなく、放置すれば製品の品質低下や重大な事故を招くリスクを秘めています。一方で、素材に合わない道具で無理に作業をすると、さらに厄介な「二次バリ」を発生させてしまうこともあります。
本記事では、創業70年の研磨材専門メーカーである株式会社イチグチが、バリ取りの基礎知識から、現場の作業負担を劇的に軽減する「効率的なバリ取りのコツ」までをプロの視点で解説します。
バリとは?放置が招く3つのリスク
バリとは、金属や樹脂を加工する際に、素材がはみ出したり、むしれたりして発生する「不要な突起」のことです。図面に「バリなきこと」と記載される通り、製造現場ではバリの除去は必須の工程とされています。まずは、なぜバリを放置してはいけないのか、その主なリスクを整理しましょう。
| リスクの種類 | 具体的な内容 | 発生するトラブルの例 |
|---|---|---|
| 1. 品質・精度の低下 | バリが残っていると、部品同士の組み付け時に隙間やズレが生じます。 | 製品のガタつき、密閉性の低下、計測誤差の発生。 |
| 2. 故障や事故の誘発 | 使用中にバリが脱落して回路に混入したり、可動部に挟まったりします。 | 電子機器のショート、機械の異常摩耗や焼き付き。 |
| 3. 安全性の欠如 | 鋭利なバリは、作業者やエンドユーザーの指先を深く傷つける恐れがあります。 | 組み立て時の怪我、PL法(製造物責任法)に抵触するリスク。 |
バリが発生するメカニズム
バリは、切削や研削、切断といった加工時に、素材の粘りによって完全に切れきらずに残ることで発生します。特にステンレスのような「粘り強い素材」はバリが出やすく、無理に削り取ろうとすると、削った方向とは逆側に新たなバリ(二次バリ)が押し出されてしまうため注意が必要です。
手作業から自動化へのシフト
バリ取りは「切断工程では避けて通れないもの」であり、完全に無くすことは困難です。昨今の人材不足を背景に、多くの現場では手作業からバリ取り機などの自動機導入へのシフトが加速しています。株式会社イチグチでは、バリ取り機用のブラシ「スリット研磨輪」も取り扱っており、ワーク材質や加工方法、最高使用回転数までを考慮した「研磨のプロ」が、お客様に最適な施工方法をご提案しています。
現場で役立つ!バリ取り効率化のコツ
バリ取り作業において最も厄介なのが、削った際にバリが倒れて反対側に残ってしまう「二次バリ」の発生です。二次バリが発生すると二度手間になり、作業効率が著しく低下します。これを防ぐには、「砥材(粒の種類)」と「製品の構造」という2つのアプローチが重要です。
二次バリを防ぐ砥材の選択
特にステンレスやアルミのような粘りのある素材は、バリが返りやすく二次バリが発生しやすい傾向にあります。こうした素材に対しては、アルミナのような「優しい砥材」よりも、ジルコニアのような「強い砥材」を使用するのが正解です。強い砥材で、バリを弾き飛ばすようなイメージで削ることで、返りを抑えることができます。
| 砥材の種類 | 特徴・バリへの作用 |
|---|---|
| ジルコニア(Z) | 研削力が強く、粘りのあるバリを「弾き飛ばす」ように除去できる。 |
| アルミナ(A) | 当たりが柔らかいが、粘りのある素材ではバリを倒してしまう(二次バリの原因)ことがある。 |
製品の「硬さ」が二次バリを抑える
製品の構造面では、当たりの柔らかいクッション性のある製品よりも、適度な硬さがありバリに負けない製品を選ぶことがポイントです。製品がバリに負けて逃げてしまうと、バリが綺麗に除去されず、かえって二次バリを助長してしまいます。ガチッとした剛性のある研磨材を選ぶことで、バリの根元から確実にシャープに削り落とすことが可能になります。
素材別・おすすめの製品と粒度の選び方
鉄やステンレス、あるいはアルミといった粘りのある素材のバリ取り、特に「薄板」の加工においては、株式会社イチグチを代表する研磨ディスク「テクノディスク(ジルコニア砥材)」の使用をまずは推奨します。
バリ取りにおいて、多くの方が「早く削りたいから」と荒い番手(#40や#60など)を選びがちです。しかし、ジルコニアのような強力な砥粒で荒すぎる番手を使用すると、バリだけでなく製品本体まで過剰に削り取ってしまい、形状が変わってしまう(意図しない面取りになる)リスクがあります。
そこで推奨されるのが「#120」です。この番手は、バリを確実に除去する研削力を持ちながら、ワークの形状を維持しやすく、美しい仕上がりを両立できる「現場で最も実績のある番手」と言えます。粘りのある素材でもバリを弾き飛ばし、二次バリを最小限に抑えながらスピーディーに作業を進めることが可能です。
条件によっては別の選択肢も
ただし、上記はあくまで「薄板」などを想定した場合の、基本となる選び方です。研磨材選びは奥が深く、同じアルミ素材であっても、板厚がある場合はジルコニアでは目詰まりを起こしやすくなることがあります。そのようなケースでは、あえて当たりが柔らかい「アルミナ(A)」の砥材をご提案したり、熱を逃がしやすい別形状のディスク(Eタイプなど)をおすすめすることもあります。
自動化・バリ取り機をご検討の場合
深刻な人手不足や、より高度な品質の均一化を求める現場では、バリ取り機の導入が有効な解決策となります。株式会社イチグチでは、自動機用のブラシ「スリット研磨輪」を取り扱っており、ワークの条件(材質、形状、バリの大きさ)や加工条件(加工方法、最高使用回転数)までを考慮したトータルな提案を行っています。
| 検討項目 | イチグチによる提案内容 |
|---|---|
| ワークの条件 | 材質、形状、バリの大きさに合わせた最適な砥材・粒度を選定。 |
| 加工条件 | 加工方法や研磨回転数まで考慮したトータルな施工プランを提示。 |
| 導入メリット | 「研磨のプロ」としての知見を活かし、歩留まりの改善と作業負担の軽減を実現。 |
グラインダー作業の安全対策と注意点
バリ取り作業、特にグラインダーを使用した研磨作業には危険が伴います。作業者の安全を守り、製品の性能を正しく引き出すためには、基本的な安全ルールの徹底が重要です。研磨材の専門メーカーとして、以下の対策を推奨します。
適切な保護具の着用
作業中には研磨屑やバリの破片が飛散することがあります。これらによる怪我を防ぐため、作業時には適切な保護具を正しく着用することが重要です。
| 保護具 | 役割 |
|---|---|
| 保護メガネ・ゴーグル | 高速で飛散する金属片や粉塵から目を保護します。 |
| 防塵マスク | 作業中に発生する粉塵の吸入を防ぎます。 |
| 作業服・安全靴 | 露出を避け、鋭利な金属片による怪我を防止します。 |
最高使用回転数を厳守してください
製品ごとに設定されている「最高使用回転数」を厳守してください。これを上回る回転数で使用すると、製品の破損や事故につながる恐れがあり大変危険です。
具体的な回転数は、作業対象の素材やワークの形状によって調整が必要な場合もありますが、いかなる場合も製品ラベルやカタログに記載された最高使用回転数を超えないように注意することが重要です。作業を開始する前に、必ず使用する機械の回転数と製品の許容範囲を確認することを推奨します。
まとめ:バリ取りの最適解はプロにご相談を
バリ取りは、製品の品質と安全を守るために欠かせない工程ですが、作業者にとっては「手間」や「二次バリ」といった多くの悩みが伴う作業でもあります。しかし、適切な研磨材の選択と正しい知識があれば、その負担は劇的に軽減することが可能です。
バリ取りの効率化で迷ったら、まずは薄板加工での実績が豊富な「ジルコニア砥材」の「#120」を試してみてください。バリを弾き飛ばす研削力と、ワークの形状を維持するバランスの良さが、現場の課題を解決する第一歩になります。
「自分の現場に合う製品がわからない…」とお悩みの方へ
記事内でも触れた通り、研磨材選びは被研削物の「材質」や「大きさ・厚み」によって正解が異なります。基本となる製品が万能というわけではなく、条件によっては別の砥材や製品タイプが最適なケースも多々あります。
株式会社イチグチでは、手作業用の「テクノディスク」をはじめ、自動機用の「スリット研磨輪」まで、あらゆる現場のバリ取りをサポートする製品をラインナップしています。お客様のワーク(材質・形状)や加工条件を丁寧にヒアリングし、最適なソリューションをご提案いたします。研磨に関するお悩みは、お気軽にお問い合わせください。